歯科材料の種類と特徴

セラミックについて

歯科用セラミックは、白く歯を治療できて、歯ぐきの境目が変色しない、
審美性、機械的特性、生体親和性に優れた材料です。
セラミックにも様々な種類があり、従来は、長石質、リューサイト、陶土等からなる
陶材セラミックが、歯科における主流でした。
その後、様々なセラミックが研究され、ニケイ酸リチウム結晶や、リューサイト結晶、
アパタイト結晶によるガラスセラミックが、歯科材料として採用されるようになりました。
1990年代に入り、より強度が高いアルミナ・セラミックが開発され、 そして
2002年、ドイツのデグデント社とスイスのチューリッヒ工科大学によって、セラミックの
中でも最高の強度と靭性を誇るジルコニア・セラミックが実用化されました。
日本でも2005年に認可され、国内でのジルコニア治療が可能になりました。
治療する箇所や補う箇所の形状、噛み合わせの力、対合する歯の状態などによって、
適した種類のセラミックを 選択するのが、上手なセラミック治療のポイントです。

そもそも、セラミックとは?

セラミックとは

セラミックとは、ギリシャ語で土器を意味するKeramos(ケラモス)が語源といわれています。非金属及び無機材料で、製造過程において高温処理を施したもので、陶磁器やセメント、レンガ、ガラスなども広い意味ではセラミックに分類されます。

一口にセラミックと言っても、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミ、窒化珪素、炭化珪素、サイアロンなど、多数の種類があり、種類によって特徴があり用途が違ってきます。

セラミックの中でも、エレクトロニクス産業や各種工業用、医療用に用いられる、優れた性質を備えた、高い精度で加工されたセラミックスを特に「ファインセラミック」と呼んでいます。歯科で用いるセラミックはもちろん、ファイン・セラミックです。

歯科で用いるセラミックについて

セラミックの歴史

従来、セラミックを用いる歯科治療では、ポーセレンと呼ばれる陶材が一般的に使用されてきました。ポーセレンとは、長石質、リューサイト、陶土等を混ぜて焼き固め、それを再び粉砕した後に着色剤を入れて、再度焼き固めたセラミックのことです。何色もの陶材を層状に盛り上げ真空焼成することにより、天然歯の色調を再現することが出来るのが特徴です。

ポーセ レンで義歯が作られはじめたのは18世紀のヨーロッパですが、当時の技術では、食事や咀嚼を行うことは難しく、主にサロンでの社交の際に、飾りとして使用されていたといわれています。当時の貴婦人は、歯が無い人が多く、扇で口元を隠していたそうですが、それを解消するために、陶材製の義歯が使用されたそうです。一説によると、現在名陶として知られるウェッジウッド社製の義歯もあったと言われています。

セラミックの歯は18世紀に作られはじめました。

以来、ポーセレンによる歯の修復法は、改良が加えられてきましたが、製作過程が煩雑で、適合が難しい上に高価なため、一部の人だけが行える、特別な修復法であると考えらてきました。

また、ポーセレン修復物は、その強度ゆえ対合歯(噛み合わせの対応する歯)に過度の摩耗を起こしたり、修復した歯そのものに、咬合性の外傷を引き起こす場合がありました。

その後、ポーセレンは金属を裏打ちにすると脆性が改善されることがわかり、1950年代 から金属の裏打ちを用いた陶材焼付冠として、広く臨床に用いられるよ うになりました。(=メタルボンド・クラウン)

メタルボンド・クラウンは、表面はセラミックの白い歯ですが、金属の裏打ちによって強度、弾性、耐久性が高められています。メタルボンド・クラウンは、従来のオールセラミックでは強度が不足する症例に対して有効な治療法として、現在でも行われています。

ただ、メタルボンドの場合は、内側の金属が光を通さないため、オールセラミックと比べると、透明感や色調が若干劣ります。 今までは、耐久性を重視するか、審美性を重視するかで、メタルボンドか、オールセラミックかの選択を行ってきましたが、新しく開発されたセラミック「ジルコニア」によって、耐久性も審美性も兼ね備えた、オールセラミックの治療が可能になりました。

現在の歯科治療とセラミックの傾向

メタルのフレーム、ジルコニアのフレーム

近年では、歯科治療全体の流れが、金属を使用しない方向へと進んできています。 その流れの中、物質的に安定し、体に無害で審美的に良好なセラミックだけを用いた治療(オールセラミック)の需要は、ますます高まっています。

オールセラミックの治療物は、金属の裏打ちがないため、透明感のある美しい歯を実現できる事、金属アレルギーの心配がない事から、従来から要望の高い治療法でした。

しかし、従来のオールセラミック冠は、金属に比べて強度や靭性が低かったために、力のかかる大臼歯部(奥歯)や、かみ合わせの強い症例については、耐久性から考えて、あまり適していない場合がありました。

そして現在、優れたセラミックと加工システムが開発され、国内でも認可されたことにより、審美性、操作性、耐久性にすぐれたオールセラミック治療が可能になりました。
「ジルコニア・セラミックス」は、セラミック中でも最強の強度と、靭性、弾性を誇る、最先端のセラミックで、オールセラミックのクラウンや差し歯、ブリッジの治療に、十分な耐久性が認めらています。

セラミックの種類と特徴

現在の代表的な歯科用オールセラミックの比較

セラミックの種類

主な成分

曲げ強度

ジルコニア・セラミック

ジルコニア

約900〜1200MPa

アルミナ・セラミック

アルミナ

約400〜700MPa

ジルコニア&アルミナ

ジルコニア(約30%)、 アルミナ(約70%)

約600MPa程度

ガラスセラミック

リューサイト結晶、 アパタイト結晶など

約120〜350MPa

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