歯科材料の種類と特徴

セラミックの加工

より良いセラミックの治療物を製作するために、 様々な
セラミックの加工システムが 研究、開発されています 。
セラミックの治療物は、まず歯科医院で患者様一人ひとりの
歯の形を採取し、そのデータに基づいて、加工システムで
製作されます。そして歯科技工士と歯科医師の手によって、
機械では行えない部分の手作業による細密な加工と、
最終的な 確認、 総仕上げが行われます。
日本では主に、世界的に信頼の高い歯科医療機器メーカー
による、セラミックの加工システムが導入されています。

▼主なセラミックの成分と加工システム▼

ジルコニアアルミナセルコンエンプレスインセラムプロセラ

主なセラミックの成分と特徴

ジルコニア

組成
  • 化学式 ZrO2(二酸化ジルコニウム)
特徴
  • 構成元素:酸素、ジルコニウム。
  • 融点2680℃、沸点4300℃。
  • 透明でダイアモンドに近い高い屈折率を有することから宝飾品としても用いられています。
  • 純粋なジルコニアには、単斜晶系、正方晶系、立方晶系の3種の多形があります。
  • 冷却時に、正方晶系から単斜晶系に転移し、その際に体積膨張を伴うため、CaO、Y2O3などを添加し、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニアとして用いられます。
  • その高融点、耐食性を利用した耐火材料として用いられてきたが、最近では、相変態あるいは微小亀裂機構による高靭性を有するため、その特性を生かして、様々な用途への開発が進められています。
適応
  • クラウン(単冠)、クラウンブリッジ、フレーム、インプラント上部構造など。

アルミナ

組成
  • 化学式 Al2O3 (酸化アルミニウム)
特徴
  • 構成元素:酸素、アルミニウム。
  • 融点 2015℃、 沸点 2974℃。
  • 耐火材、絶縁体、レーザー材料、研磨材などとして、又、工業的には金属アルミニウムやアルミニウム化合物の原料として利用されています。
  • 工業的には、ボーキサイトなどのアルミナ鉱石から製造されます。
  • 天然には、コランダム鉱石として産出され、美しいものは宝石として用いられます。(ルビー、サファイア等)
  • ファインセラミックの中では、比較的安価です。

適応
  • ラミネートベニア、クラウン(単冠)、クラウンブリッジ、フレームなど。

主なセラミックの加工システム

プロセラ

プロセラシステムは、1994年にノーベル・バイオケア社から紹介されて以来、欧米では40カ国、200万本以上の臨床実績を持ち、金属焼付けポーセレンにかわる術式として注目をされてきました。
患者様の口から採取した印象模型を専用スキャナーで解析し、そのデータをもとにアルミナを圧縮形成、焼成してコーピングを製作し、その上にセラミックを築盛し、オールセラミックス・クラウンを完成させます。プロセラ・ジルコニアも発表されました。

インセラム

インセラムは、長期にわたる臨床経験のあるVITA社のオールセラミックです。インセラムフレームは酸化アルミナ粒子を焼成し、その隙間にガラスを浸透焼成させる製作法により他のシステムに比較して優れた曲げ強さを実現しています。また高い適合性、最適な強度を持ちます。上顎前歯の3歯ブリッジや、前臼歯部単冠に使用できます。 コア上にはビタデュールアルファを築盛します。 光の吸収特性や反射特性が天然歯に極めて近似しておりますので、審美性のあるオールセラミックの製作が可能です。インセラムのフレームには、スピネル、アルミナ、ジルコニア(ジルコニアとアルミナの混合タイプ)の3種類があります。

スピネルは透過性が強く、審美的要求には最適です。前歯でファイバーコアを使用すれば、光が透過し透明感が出ます。アルミナは色の遮断が出来るので、支台歯を選びません。インセラムのジルコニアは、アルミナに部分安定化ジルコニアを効率的に配合したもので、純粋なジルコニア・セラミックとは組成が異なりますが、インセラムシリーズ中での、最高強度を実現したものになっています。臼歯部3歯ブリッジまで対応できます 。

エンプレス

エンプレスとはイボクラール・ビバデント社が提供するオールセラミックシステムです。ヨーロッパで開発され、世界中で使用されています。 プロセラと同様、金属は使用せず、セラミックそのものを生かした、美しいオールセラミック治療を行います。

エンプレスは改良が進められ、現在ではより強度の高い「エンプレス2」も、臨床に応用されています。エンプレス2は、ニケイ酸リチウムガラスセラミックスとアパタイトレアリング用セラミックスにより、強度が大幅にアップしたものです。

前歯・臼歯(奥歯)のオールセラミック冠やラミネートベニア、ブリッジ、インレー、アンレーに至るまで適用範囲は広く、エンプレスインゴッドの特殊な結晶構造により、強度・審美性ともに高いレベルを満たしたシステムといえます。

セルコン

セルコン・スマート・セラミック・システムは、チューリッヒ工科大学(スイス)とデンツプライ・デグデント社(ドイツ)の共同研究により開発されました。主成分として採用された「ジルコニア」はスペースシャトルの断熱保護材、高級外車、スポーツカーのブレーキ部分や、人工股関節のベアリングなどに用いられており、高強度の上に過酷な状況下での優れた耐久性、耐腐食性、生体親和性が証明されています。
セルコンは数多くの臨床試験により審美性と安全性が証明され、2001年にヨーロッパで発売を開始、以来これまでに欧米で50万症例に適用され、良好な臨床成績を得ており、日本でも2005年に認可されました。
歯冠修復(進行したむし歯をかぶせ物で修復する治療)において、天然歯と同じように透明度の高い、美しい歯を再現します。

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